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院長ブログ

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歯ぎしりの歯への影響について

2025.06.09

京都市山科区の歯医者、鈴木歯科医院の院長 鈴木貴之です。
今回は、「歯ぎしりの歯への影響について」についてお話をしていきます。
歯ぎしりは多くの方が無意識に行っていることがあり、その影響を実は意外と大きいのです。
歯ぎしりが引き起こす問題は、見た目や機能的な障害にとどまらず、長期的には口腔内の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
今回は、歯ぎしりがもたらす歯への影響について詳しく解説し、予防法や治療法についても触れていきます。

1.歯ぎしりとは何か?

歯ぎしり(ブラキシズム)は、意識的に行うのではなく、無意識のうちに歯を食いしばったり、上下の歯を擦り合わせたりする現象です。
通常睡眠中に発生することが多く、知らず知らずのうちに行われるため、自分で気づかないことが多いのが特徴です。
歯ぎしりは、主にストレスや不安、睡眠時のトラブルが原因で起こり、歯や顎関節に様々な影響を及ぼします。

2.歯ぎしりの主な原因

歯ぎしりの原因は多岐にわたりますが、最も一般的なものは精神的なストレスです。
以下の要因が歯ぎしりの原因となることがあります。

・精神的なストレス
日常生活でのストレスや不安感が原因で、無意識のうちに歯を食いしばることがあります。
特に、仕事や家庭でのプレッシャー、人間関係の悩みなどが強いストレスとなり、寝ている間に歯ぎしりが発生します。
歯ぎしりは、身体が緊張状態にあるときに自然に起こる反応でもあります。

・歯並びや噛み合わせの問題
歯並びが悪かったり、噛み合わせに問題がある場合、歯ぎしりが発生しやすくなります。
噛み合わせが不正確だと、歯に異常な力がかかり、その反応として無意識に歯ぎしりが始まることがあります。
特に前歯や奥歯の不整合が顕著に影響を及ぼします。

・睡眠の質や生活習慣
睡眠時の呼吸や姿勢が影響することもあります。
睡眠時無呼吸症候群や不規則な生活習慣も、歯ぎしりの原因となり得ます。
深い睡眠が取れないことや、身体のリラックスが不足していることが、歯ぎしりを引き起こす要因になります。

3.歯ぎしりが引き起こす歯への具体的な影響

歯ぎしりが歯に与える影響は深刻です。以下のような問題が発生する可能性があります。

・歯の摩耗(エナメル質の削れ)
歯ぎしりによる摩耗は、最も一般的な歯への影響の一つです。
歯の表面はエナメル質で覆われており、この部分が摩耗すると、歯が薄くなり、色が変わったり、表面がザラザラとした感触になったりします。
エナメル質が削れると、歯が虫歯になりやすくなるだけでなく、知覚過敏を引き起こすこともあります。

・歯のひび割れと破損
歯ぎしりは、非常に強い圧力が歯にかかるため、歯にひびが入ることがあります。ひび割れた歯は、その後さらに割れるリスクが高くなります。特に前歯など、薄くて強い圧力がかかりやすい歯では、ひび割れや破損が深刻な問題となります。

・歯周病の進行
歯ぎしりは歯周組織に過度な圧力をかけることにより、歯周病を悪化させる原因となります。
歯と歯茎の間に隙間ができることで、歯周ポケットが深くなり、細菌が繁殖しやすくなります。
この状態が続くと、歯の支えとなる骨が溶けていき、最終的に歯がぐらついたり、失われることがあります。

・歯根の損傷
長期的な歯ぎしりによる圧力は、歯根に負担をかけることがあります。
これにより、歯根が弱くなり、最終的には歯が脱落する可能性もあります。

4.歯ぎしりによる顎への影響

歯ぎしりは、歯だけでなく、顎にも大きな影響を与えます。
以下のような顎への影響が生じることがあります。

・顎関節症(TMD)
歯ぎしりによって顎関節に過度な力がかかることで、顎関節症(TMD)が引き起こされることがあります。
顎関節症は、顎の動きに痛みを伴ったり、音が鳴ったりする症状が現れる疾患です。
歯ぎしりによって、顎関節や周囲の筋肉が疲労し、痛みや違和感が生じます。

・顎の痛みと違和感
歯ぎしりが続くと、顎の筋肉が過度に緊張し、顎関節の可動域が狭くなることがあります。
この状態が続くと、顎を動かすときに痛みを感じたり、開口がしにくくなったりします。

5.歯ぎしりの予防と治療法

歯ぎしりを防ぐためには、早期に対応することが重要です。
以下の予防法と治療法を取り入れることで、歯や顎の健康を守ることができます。

・マウスピース(ナイトガード)の使用
歯ぎしりの最も効果的な対策は、マウスピースを使用することです。
歯科医院で作成するオーダーメイドのマウスピース(ナイトガード)は、歯ぎしりによる摩耗や破損から歯を守るだけでなく、顎関節への負担を軽減します。

・ストレス管理とリラックス法
精神的なストレスが原因である場合、ストレスを減らすことが重要です。
深呼吸や瞑想、リラックスするための時間を持つことで、歯ぎしりを予防することができます。
ヨガやマッサージも効果的です。

・歯科での定期的な検診と対応
定期的な歯科検診を受けることで、歯ぎしりによる初期の影響を早期に発見することができます。
歯科医師は、歯の摩耗具合や顎の状態を確認し、適切な治療やアドバイスを提供します。

・噛み合わせの矯正
歯並びや噛み合わせが原因の場合、矯正治療が有効です。
噛み合わせを調整することで、歯ぎしりを減少させることができます。

6.まとめ

歯ぎしりは、歯や顎にさまざまな悪影響を与える可能性があり、無視することはできません。
早期の発見と対処が非常に重要で、歯科医師の適切なアドバイスと治療を受けることで、歯や顎の健康を守ることができます。
歯ぎしりに気づいたら、ぜひ当院にご来院ください。
検査の上、より良い治療をご提案いたします。

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