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院長ブログ

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1本の入れ歯の重要性

2025.10.14

京都市山科区の歯医者、鈴木歯科医院の院長 鈴木貴之です。
今回は、「1本の入れ歯の重要性」についてお話をしていきます。

1.たった1本の歯を失うことの影響

あなたは、歯について「1本くらいなくても大丈夫」と思っていませんか?
実は、たった1本の歯を失うだけでも、口全体や身体にさまざまな影響を及ぼします。
歯は上下左右でバランスを取りながら噛む働きをしています。
1本でも欠けると、噛み合わせが崩れ、隣の歯や反対側の歯が傾いたり伸びてきたりします。
その結果、全体の噛み合わせの乱れ・顎関節の負担・咀嚼効率の低下といったトラブルが生じてしまいます。

2.1本の入れ歯が必要になるケースとは

1本の歯を失う原因はさまざまです。

・むし歯や歯周病による抜歯
・事故や外傷による破折
・根の病気による歯の喪失

特に奥歯(臼歯)を1本失うケースは多く、見た目には目立ちにくいため放置されがちです。
ですが、奥歯は噛む力の約6割を支える重要な歯であり、1本でも失うと噛み合わせ全体に影響します。

3.1本だけでも入れ歯を入れるべき理由

1本だけの入れ歯というと、「大げさ」「面倒」と感じる方も少なくありません。
しかし、1本でも補うことには大きな意味があります。

・噛む力のバランスが保てる
→他の歯に過剰な力がかからず、長く健康を保つことができます。
・歯の移動を防げる
→1本の入れ歯を入れることで、抜けた歯の隣の歯が倒れたり、反対の歯が伸びたりするのを防ぐことができます。
・顎の関節に負担をかけない
→片側で噛む癖が減り、顎関節症の予防にもなります。

つまり、1本の入れ歯は「欠けた部分を埋めるため」だけではなく、「他の歯を守るため」にも重要なのです。

4.1本入れ歯を放置した場合に起こるトラブル

1本の欠損を放置していると、時間の経過とともにさまざまな問題が発生します。

・噛み合わせがずれて、顎や筋肉に痛みが出る
・食べ物が挟まりやすくなり、むし歯や歯周病が進行する
・反対側の歯に負担がかかり、次々と歯を失う連鎖が起こる
・発音がしづらくなる

このように、「たった1本だから」と油断して放置すると、結果的に口全体の健康を損なうことになります。

5.1本入れ歯の種類と特徴

1本の歯を補う入れ歯にもいくつかの種類があります。

・クラスプ付き部分入れ歯
金属のバネ(クラスプ)で隣の歯に固定する一般的なタイプです。
保険適用で作成でき、コストを抑えたい方に向いています。
・ノンクラスプデンチャー
金属のバネがなく、ピンク色の樹脂で歯ぐきに自然に馴染むタイプ。
見た目が自然で、笑ったときに入れ歯と分かりにくいのが特徴です。
・金属床部分入れ歯
床の部分を金属で薄く仕上げた高性能タイプの入れ歯です。
違和感が少なく、強度と耐久性にも優れています。

それぞれの特徴を理解し、審美性・耐久性・費用のバランスを考慮して選ぶことが大切になります。

6.周囲の歯を守るための入れ歯設計

1本の入れ歯といえども、周囲の歯にかかる力のバランスを考えて設計する必要があります。
当院では、患者さんの咬合力や顎の動きを分析し、負担が最小限になるように調整します。
また、入れ歯の設計を誤ると「引っ掛けた歯が揺れる」「歯ぐきが痛む」などのトラブルが起こるため、設計段階の精度が非常に重要です。

7.1本の入れ歯とインプラント・ブリッジの比較

歯を1本失った場合、選択肢は3つあります。

治療法
特徴
メリット
デメリット

入れ歯
取り外し式で手術不要
負担が少なく費用を抑えられる
違和感が出ることがある

ブリッジ
両隣の歯を削って橋渡し
固定式で安定感がある
健康な歯を削る必要がある

インプラント
顎骨に人工歯根を埋入
見た目・機能性が自然
外科手術が必要で費用が高い

「手術に抵抗がある」「他の歯を削りたくない」という方にとって、1本の入れ歯は非常に現実的で優れた選択肢です。

8.入れ歯を快適に使うためのポイント

1本の入れ歯でも、快適に使うためにはコツがあります。

・毎日清掃し、清潔に保つ
・食後に外して洗う習慣をつける
・初めは柔らかい食べ物から慣らす
・違和感が続く場合は調整を受ける

最初は「浮く」「外れる」と感じることもありますが、調整を重ねることで自然な装着感が得られます。

9.定期的なメンテナンスの重要性

入れ歯は使っていくうちに歯ぐきの形や噛み合わせが変化します。
そのため、半年〜1年ごとにチェックや調整を受けることが大切です。
また、入れ歯の清掃状態を保つことは、口臭や歯周病の予防にもつながります。
定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、常に快適な状態を維持できます。

10.まとめ

「1本の入れ歯の重要性」についてまとめます。

・1本の歯を失うだけでも、噛み合わせや顎関節に影響が出る
・放置すると周囲の歯が動き、トラブルが連鎖的に発生する
・1本の入れ歯でも、咀嚼機能、見た目、発音を守るうえで重要
・入れ歯には複数の種類があり、目的に合わせた選択が可能
・定期的なメンテナンスで長く快適に使うことができる

たった1本の歯でも、私たちの身体のバランスに大きく関わっています。
「1本くらい」と思わず、失った瞬間からの適切な対応と意識が将来の健康を守ることにつながります。
入れ歯は決して「年齢を感じるもの」ではなく、「自分の歯を守るための積極的な治療」です。

歯がなくなってしまった場合は当院にご相談いただき、最適な方法で1本の歯を補っていきましょう。

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