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院長ブログ

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歯と身体の健康の関連について

2025.09.29

京都市山科区の歯医者、鈴木歯科医院の院長 鈴木貴之です。
今回は、「歯と身体の健康の関連について」お話をしていきます。

1.歯と身体はどのようにつながっているのか

「歯の健康」と「全身の健康」は切り離せない関係にあります。
私たちは食事を通じて栄養を摂取し、その入り口となるのが口です。
歯がしっかりと機能していなければ、栄養バランスが偏ったり、消化に負担がかかったりします。
さらに、口腔内の細菌や炎症は血流を通じて全身に影響を及ぼすため、歯の状態は身体全体に深く関連しているのです。

2.虫歯・歯周病と全身の病気の関係

特に注目されるのが歯周病と全身疾患の関連です。

・糖尿病
歯周病が進行すると炎症物質が血液中に増え、血糖コントロールが難しくなります。
逆に、糖尿病があると免疫機能が低下し、歯周病が悪化しやすくなるという「悪循環」が存在します。

・心筋梗塞・脳梗塞
歯周病菌が血管に入り込むと、動脈硬化のリスクを高め、心疾患や脳血管疾患につながることがわかっています。

・誤嚥性肺炎
高齢者では口腔内の細菌が誤って気管に入ることで肺炎を引き起こすことがあり、命に関わるケースも少なくありません。

3.咬み合わせと姿勢・運動機能の関連

歯の役割は「噛む」だけではありません。
正しい咬み合わせは、頭や首、肩の筋肉バランスに大きな影響を与えます。

・咬み合わせが乱れると、顎関節症や肩こり、頭痛を引き起こすことがあります。
・噛む力が安定しないと、全身の姿勢や歩行にも影響が出ることがあり、スポーツ選手のパフォーマンスにも直結します。

つまり、咬み合わせは全身の運動機能や日常の快適さと密接に関連していると言えます。

4.口腔内の炎症と生活習慣病リスク

近年の研究では、口腔内の慢性的な炎症が生活習慣病のリスクを高めることが明らかになっています。

・メタボリックシンドローム
・高血圧
・動脈硬化

これらはすべて口腔環境と関連性を持つことが報告されています。
つまり「歯磨きを怠ること」が、将来的な生活習慣病の引き金になる可能性があるのです。

5.妊娠期と口腔環境の重要性

妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきが腫れやすくなり、歯周病リスクが高まります。
歯周病が進行すると、早産や低体重児出産のリスクが高まるとされ、妊婦健診においても口腔管理が重視されるようになっています。
母親の口腔環境は、出産後の赤ちゃんの健康にも影響するため、この時期のケアはとても重要です。

6.高齢者の口腔機能と健康寿命

高齢者にとって「歯の健康」はそのまま「生活の質」につながります。

・噛めないことで栄養不足に陥りやすい
・食欲が低下し、フレイル(虚弱)につながる
・入れ歯の不具合や歯の喪失で会話が不明瞭になり、社会的孤立を招く

口腔機能を維持することは、健康寿命を延ばし、いつまでも元気に生活するために欠かせません。

7.日常生活で意識すべきポイント

歯と身体の健康を守るためには、日常生活での意識が大切です。

・毎日の正しい歯磨き(歯間ブラシやフロスの併用)
・バランスのとれた食生活(よく噛む習慣も重要)
・規則正しい生活習慣(喫煙・過度な飲酒を控える)
・定期的な歯科健診でのチェックとプロケア

小さな積み重ねが、将来の健康を大きく左右します。

8.歯科医院での予防的アプローチ

歯科医院は「痛くなったら行く場所」ではなく、「健康を維持するために通う場所」へと変わりつつあります。

・プロフェッショナルクリーニングでの歯石除去
・フッ素塗布による虫歯予防
・口腔内写真やレントゲンでの定期チェック
・咬み合わせや生活習慣に応じたアドバイス

歯科医院での予防的アプローチを取り入れることで、歯の健康を守り、全身の健康リスクを下げることが可能です。

9.まとめ

「歯と身体の健康の関連について」まとめると、

・歯の健康は栄養摂取や生活習慣に直結し、全身の健康を左右する
・歯周病は糖尿病・心疾患・脳疾患など、多くの病気と関連がある
・妊娠期や高齢期などライフステージごとに歯の健康は特に重要
・毎日のセルフケアと歯科医院での定期的な管理が、全身の健康維持につながる

歯の健康を守ることは、将来の自分自身や家族の健康を守ることにつながります。
ぜひ今日から、歯と身体を一体として考える習慣を取り入れてみてください。

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